屋根工事

屋根下地

屋根は、水を受ける層(屋根下地)とともに施工されねばならない。それは屋根を構成する損傷を受けやすい木造部分を、なぐり雪や湿り気から保護するものである。水を受ける層は、通常ビチューメンを含浸したシート、または繊維補強された合成樹脂シート(いわゆる防水紙)を板張りの上に敷く。しかし、たいていのシートは十分な水蒸気の透過性能を有しておらず、その結果、天候の状態が不安定な時期(早春の氷結と雪解けの陽気が変互する時期など)には、水蒸気が氷結し、木部や断熱材が腐る。この点に関して有効なのは、水蒸気を透過し、しかも湿気によって傷まないようなシートである。いわゆるビオ・パウ・シートはこうしたシートの一種であるが、このシートの欠点は、ビチューメンを含浸させたシートとの比較において耐裂性に劣ることと、湿気がひどいときの安定性に欠けることである。実矧継ぎをした板張りの上にビチューメンシートを敷く代わりに、ビチューメンを含み、パラフィンで処理した、もしくは天然ラテックスを塗った22mm厚の軟質の木質繊維板を用いることが増えてきた。それは耐水性をもちつつ水蒸気を透過し、ものによっては歩行可能である。また6~8mm厚の硬質木質繊維板も、同様に水蒸気を透過するという意味において適している。

目下のところこの目的のために提供された最も現代的な材料は、高密度ポリエチレンからなる「タイベック」である。この材料は耐候性があり、とても軽く、水蒸気をよく透過し(透湿抵抗値S=0.02m)、それにもかかわらず耐水性がある。この建材は良好な膜の特性をもっているわけである。しかし製造のために石油化学工業製品が用いられている。
屋根を葺いた後に、屋根下地を設ける際には、垂木の上面から離して、応急措置として、図3.8.11のように新しく水を受ける層を敷設しなければならない。ここでもビチューメンを含んだ軟質の木質繊維板(12~18mm)は屋根下地材として実績をもっており、垂木の間に施工される。この場合、繊維板がふくれ、反ることを防ぐために垂木の中間には木桟が必要である。瓦桟と繊維板とのクリアランスは屋根裏の通気を確保する。繊維板は、構造体の湿気の流出入を妨げることなく、断熱材の内側に湿気が帯びることを防止する。この繊維板による水を受ける層は垂木の先端までつくり、雨水が壁を伝わらないようにする。

屋根下地